こんにちは、東京・銀座の結婚相談所ブライダルゼルム、代表の立花です。
このブログを読んで下さっている方の中には、過去に大切な人を亡くされた方や、再婚死別の方とこれからお見合いをする・あるいは交際中という方も多くいらっしゃいます。
グリーフケアアドバイザー2級の資格をとりました

死別をご経験された方はこのグリーフケアという言葉をご存知かもしれませんが、初めて聞く言葉だ!って方も多いと思うんですよ。
「グリーフ」というのは“大切な人を亡くした時などに感じる深い悲しみや喪失感”という意味です。
ブライダルゼルムにいらっしゃるお客様も、死別遺族の会でうちの相談所を知ってお越しになる方やグリーフケア外来で婚活をすすめられた方もいらして、私もお客様から伺って知った世界でした。
今回は、講座で学んだことと、それを仲人として婚活の現場でどう活かしていけるのか、私自身が感じたことをお話ししたいと思います。
「こんなにしんどいのに婚活してもいいのかな…」という葛藤を持っているような死別経験者にむけただけじゃなくて、婚活相手が再婚死別、死別経験者だった時の理解と配慮を育めるような内容となっていますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
なぜこの講座を受けようと思ったのか?
ブライダルゼルムは、50代・60代のシニア世代のお客様が多い結婚相談所です。その中で、配偶者や恋人と死別された方とお会いする機会は決して少なくありません。
- パートナーを突然亡くした方
- 病気を支え看取った方
本当に色んな方と日々お会いします。そうした方と日々お話しする中で、私は「この方たちの“心のプロセス”に、もっと理解を深め、仲人に必要なグリーフケアの“ちょうどいい深さ”が知りたいな」と思ったんです。
私たち仲人は、医師やカウンセラーのように“治療する”立場ではありません。専門知識を極めるというより、婚活という人生の再スタートを支える中で、“悲しみを抱えた人にも安心して関われる力”を持っていたいと思ったんです。
講座では“今さっき亡くなったみたいな死直後の対応”ファーストエイド(初期支援)の知識や技術内容もありました。私の仕事ではあまり直接的に活用する場面はありませんが、たとえば死別後、すぐに婚活を始めようとしている人の“焦り”や“不安定さ”の背景。相談の中で、「まだ心の状態が混乱期にあるかもしれない」と判断できる視点が増える。知っておくことで“心がまだ整っていない方”への理解はぐっと深まりました。
婚活というのは、未来に向けた活動ですが、そこには必ず、“過去の整理”や“喪失との折り合い”というプロセスも存在します。
受講者の方は、医師やお寺さんや葬儀屋さん、介護系職種の方など、グリーフに関わる色んなお仕事の方がいらっしゃってたみたいで、お若い方からシニア世代まで年齢もかなり幅広く、遠方からお越しになる方もいらしてたみたいです。
きっとお仕事だけじゃなく、大切な人を亡くしてこの講座に興味を持った方もいらっしゃったと思いました
受講してみて感じたこと
想像以上に深く実感とつながって、答え合わせができたと思っていて、正直、最初は「理論的な話が中心かな、途中で寝ちゃったらどうしようとか考えてました(笑)
でも開始10分で突然、“この飛行機が今から墜落するとしたら、大切な人に何を伝えますか?”という問いかけがありました。私は夫に宛てて書いたんですが、仕事柄、なんだかいつも死別を意識しているからか、「あえて書くほどのことはないな」と思える自分にも気づいて、けっこうぺらぺらな感じの感謝の言葉や「あのノート(エンディングノート的なものを用意してあるのです!)の通り段取りしてね」みたいな明るい表現になりました。
そして大切な人に返事を書くワークでは、夫へのお返事は「同じだよ」の一言だけ書きました(笑)すぐ終わった(笑)
たったそれだけで、私たちの関係性の深さと日常の中の安心感を再確認できた気がしました。この時点で、ぐすん。。。って聞こえてきて、泣いている方もいたようでした。
それほどまでに、悲嘆というのは個人の奥深くに根差したテーマだと改めて実感しました。
悲嘆のプロセスをどう理解するか?:段階説→二重課程モデルへ
講座では、悲嘆の「段階説(5段階)」ではなく、「二重課程モデル(Dual Process Model)」を中心に学びました。これは、
- 喪失に向き合う「思慕(しぼ)」
- 日常生活を立て直す「現実対処」
この2つを、人は揺れながら何度も行き来するという考え方です。
昨日は元気だったのに、今日はふと涙が止まらない。未来と過去が行ったり来たりする。そうした“揺れ”こそが、ごく自然な悲嘆のプロセスなんだと知りました。
私は自分の体験から、“段階的に悲しみが進むもの”だと思っていました。でも講座で“揺れることも戻ることもある”と知って、悲しみには順番も正解もない。だからこそ、一人ひとりに丁寧に寄り添いたいなと、改めて感じました。
思慕と現実対処
この「二重課程モデル」で興味深かったのが、思慕に偏りすぎても、現実対処に偏りすぎても、人はバランスを崩してしまうという点です。
思慕に偏ると…
- 亡くなった人のことをずっと考えてしまう
- 過去に引きずられ、今が見えなくなる
- 日常生活に支障が出ることもある
現実対処に偏ると…
- 忙しくして気を紛らわせようとするいわゆる“過活動”の状態に
- 一見元気でも、心の深い部分は追いついていない
この過活動という言葉になんだか違和感がありました。
趣味に全振りする生活になったり、人と沢山会ったり、過ぎた行動、ようは多動になってるみたいなことなんでしょうけど、じゃあ死別してすぐ婚活している人は、過活動なのか?それは違うなとも思いました。
また、思慕だけに偏れる人は幸せじゃない?とも感じました。大半の人は現実対処、今やるべきことをこなさなきゃ、生活しなきゃ、子育てしなきゃなどいっぱいいっぱいですよね。
死別といっても、対象によって悲しみの質が違う
講座の中で1番印象に残った事があります。
- 親を亡くした人は「過去」を亡くした
- 配偶者を亡くした人は「今」を亡くした
- 子どもを亡くした人は「未来」を亡くした
この言葉を聞いたとき、婚活の現場でも、皆さんが“どの時間軸を失ったのか”によって、その表情や言葉に違いがあることが腑に落ちました。
婚活という「未来の話」をするとき、その方が「どこを失っているのか」によって、かける言葉も、進むペースも変わってくると思います。
仲人としての立場
講座を受けながら何度も思ったのは、婚活は過活動の1つではないということです。悲しみを紛らわせるために婚活しているわけではなくて、自分のこれからの幸せ、人生を生き直す上で結婚生活の幸せだったり、パートナーのぬくもりだったりを求めているから行動しているだけで、それが過ぎた活動とは思いませんでした。
なかなか良い人と出会えない、婚活がうまくいかない時だけ気持ちが揺れる。でもそれは自分自身が乗り越えていかなければならないことで、死別を経験された方も新しいパートナーを見つけて幸せになっている熟年カップルをたくさん見ています。
まとめ:知識ではなく、姿勢を学ぶ講座だった
今回の講座は、私にとっては、臨床心理の専門家になるためのものではありません。でも、死別を経験された方と関わる上で、「何が自然で、何が不自然ではないのか」を知ることができたのは、大きな価値があったと感じています。
これからも私は、「再婚なんてまだ早いのでは…?」と悩む方にも、「婚活してもいいのかな」と不安な方にも、未来に向かって歩き出すとき、「悲しみがなくなってから」ではなく、
「悲しみと一緒に歩けるようになったとき」でいい──。
そんな優しいスタートも、あっていいと思っています。
今日の動画が、死別を経験された方や、その方と関わるすべての人のヒントになれば幸いです。
ブライダルゼルムは、アラフィフから70代、中には80代の方も活動しているシニア世代の婚活サポートに特化した結婚相談所です。気になった方はお気軽にお問い合わせをお待ちしています。最後までお読みくださり、ありがとうございます。