ブライダルゼルム代表の立花えりこが、女流作家・エッセイストの中村うさぎさんと、シニア婚のあんな事やこんな事について対談させていただきました。そちらの内容を連載でお届けいたしますので一読いただけたら幸いです。
ブライダルゼルム代表:立花えりこ
シニア婚活ブームの火付け役!50代からの婚活を200組以上手がけたアドバイザー
女流作家・エッセイスト:中村うさぎ
現連載情報「うさぎとマツコの往復書簡」「中村うさぎの死ぬまでに伝えたい話」
これまでの対談シリーズはこちらです。
成婚退会後も1人の時間を大切にした方が良い
2人の時間よりも、1人の時間を大事にしたほうがいいよってアドバイスしてます。そうするとストレスがなくなるので。ジムに行く・習い事・ちょっとパート出てみるとか、好きなことをやって1人の時間を充実させることで、シニア婚のライフスタイルが豊かになるよって。
ずっと四六時中一緒にいたら、どんなに仲が良くても息が詰まるし、喧嘩もしちゃうから。喧嘩しないように工夫していかないといけないですね。
それは男の人もそうだよね。趣味の一つも持っててもらったほうがね。ずっと家いてさ、ああでもないこうでもないって話しかけられてもうざいもんね。
ひとりの時間って大事ですよね。
うんうん。夫婦がそれぞれ自分の部屋を持ってて、一人の時間は自室で過ごし、二人の時間はリビングで、みたいなスタイルが理想だよね。でも、それには家がある程度広くないとね。シニア婚なら、既に家を持ってたりするし経済的な余裕もあるから、若い人の結婚と較べて、そこらへんの環境は実現可能かも。
そうなんです。シニア婚の場合は色々と現実的で、男性は家持ってるかとか、お互い年金はあるかとか、大卒の女性は男性の学歴を気にしたりもするんですね。お見合いパーティーだとそういう詳細な情報がわからないし、聞いても本当かどうかわからないから、結婚相談所で条件合う人を見つけた方が早いんです。シニア世代は「時間」がとにかく大事なので、相手を探すことに時間をかけたくない。早く決めたいんだというので結婚相談所入る方が多いですね。
効率的にってことですね。まあ、60歳にもなったらさ、1から恋愛するの面倒くさいもんね。
ときめきよりも無理のない気楽な時間を優先
あと、女性はときめきとか恋愛感情じゃないんですよね。相手を見つける時に。
ほお、恋愛はそこまで重要じゃない、と。そこも若い人の結婚とは違う点だね!
シニア婚の場合、もう子育てするわけじゃないから、女性が一番求めてるのって「我慢や苦労をしたくない」ってこと。一緒にいてまず気楽な人。あと尊敬できるか。
私は「どういう部分でもいいから、尊敬できる人を選んでね」ってアドバイスしています。
ときめきとか若い頃の恋愛観や結婚観で選んじゃうと、お見合い相手のことを好きになれないで悩む方も多いんですけど、「恋人としては見られないけど、友達だったら最高」っておっしゃった方がいらしたんですね。友達で最高って一番いいじゃないですか
うんうん。恋愛結婚だって、最終的には親友とか同志みたいな関係に落ち着くもんね。
もちろん経済的にも安定していることが大前提なんですけど、楽しくて気楽な相手が一番いい。後々長い目で見ると幸せなのはそっちですよと私は言ってます。好きから入ると、ムカついたり、イライラすることもあるじゃないですか。
嫉妬したりとかね。
なんでこうしてくれないのと思ったりとか。恋愛感情よりも尊敬とか安心感が前提にあれば、そういうトラブルも起きにくくて、仲良く生活していけるなと思ってますね。
なるほどね、それはたしかにそうだと思うんだよね。若い時は惚れた腫れたが最重要事項で、恋愛結婚なんてほとんどその場の勢いじゃないですか。だけど、いい年こいて結婚を考えるのであれば、この人と理解しあえるかとか、なんでも話せるかとか。
若い時の恋愛ってカッコつけるからさ、男も女もお互いに。だから自分の変なところを見せないようにしたり・・・ちょっとメッキをかけるじゃないですか。それをしなくてすむのがシニア婚の良さなのかな。
嫌じゃないってことが、すごい大事ですよね。好きーっていうよりも。
そうそう。「好き」よりも「楽」とか「安心」重視なのね。
その安心がたとえばお金だったり、家があるとか、経済的な安心感があって、初めて尊敬する気持ちも芽生えて、というふうにつながっていくものだとは思ってます。
なるほど。男は結局最後まで金か。
大事ですよ、やっぱり。だって、この年になって苦労する人と再婚は考えないじゃないですか。どんな苦労でも2人で乗り越えていこうってテンションではなくて、苦労しないで楽しくやっていこうみたいな2人が理想的です。苦労しなそうな人を選んでくださいね、と言ってます。
結婚生活における理想的な形態とは
私にとっての夫の有難さって、「何があってもこの人は味方してくれるな」みたいな存在。はっきり言って、うちの両親は何があっても私の味方するかといったら、そうでもないような気がする。
そうなんですか(笑)。
私、血のつながった家族に対してそこまで求めてないし、うちの両親は、死ぬまで私のことを理解できないだろうなと思う。もう別々の人生を歩んでしまっているので、私の価値観や考え方とか、本当にまったく理解できないだろうし、理解する気もないだろうし。
そもそもゲイと結婚したりとか、デリヘルで働いたり、そんなことしてる時点で親にとっては、この子はいったい何考えてるの……みたいな感じ。どこかよその文化圏の人と思われてるから。それに比べてうちの夫は、結婚する前から友達だったのもあるし、何しろゲイだしね。私も自分を作らないじゃないですか。いいところ見せようとかしないし。
気楽でいられる。
うん。素の私を前から知ってるから、何があっても驚かない。
受け入れてくれるだろうと思える。
とはいえ、互いに相手をどこまで許容できるかは、結婚してみないとわからないじゃん?だから結婚するときは、生活信条とか価値観があまりにも違ったら、別居婚でもいいと思ってたのね。で、そんな結婚生活を20年以上続けてきた今、私のことを本当に良くも悪くも理解しているのはこの人だけなんだろうなと、最近しみじみ思うんですよ。私に対して肯定も否定もあの人はしないから。
あったかい存在ですね。
私の間違ったところもすごく知ってるけど、いいところも知ってて、そういう人だから安心できるみたいなね。
それって本当に、シニア世代にとって理想的な結婚生活ですよね。
そうなんですよね。でもこれって、恋愛もセックスもなかったから成立できたのかなとも思う。
男と女の体の関係がなくても、そういうのは成立するじゃないですか。だからシニア婚もそれに近いの場合もあるかなって思ってます。
好きのマックスが結婚という誤り
「好き好き大好き!」みたいな熱い恋愛感情が結婚を長続きさせるとは限らないというか、逆に結婚生活の足を引っ張る場合もあるもんね。
そうですね。好きのマックスが結婚という人だと、マックスじゃなくなっちゃったら離婚になっちゃいますからね。
思いが冷めたらどうすんだよ、みたいな。まぁ、その頃には子どもができてて、責任とか義務とかが発生してるんだろうね。
子どものために我慢しようというふうになるけど、50代・60代はそうじゃないので、本当に我慢しなくてすむような相手を見つけないと離婚になっちゃうし。それこそ信頼関係や、尊敬する気持ちが持てなければ難しいですよね。
ある程度大人だからさ、50歳・60歳ってさ。若いときとは違って、人間こんなもんだよなって最初からうっすらと受け入れ感があるんじゃないですかね。
いやあ、でも……。
そうでもない?
初々しいですよ、本当に。生き生きとして青春時代を取り戻したみたいだって、かわいいおじいちゃんおばあちゃんカップルもいるし。このへんで妥協しとくかみたいな打算的な人も中にはいるかもしれないけど、苦労して婚活して探した果てのお相手だから、やっと見つけたとか、いいご縁があってよかったという。本当に見てるとほっこりします。
年取ってるとさ、相手に欠点があっても受け入れられる土壌がある程度出来上がってると思うんだよね。それまでの生きてきた人生の生き方にもよるんだけどさ。
仕事してたら職場に嫌なやつがいても我慢しなきゃいけないこともあるわけじゃないですか。そういうのを色々と経験した上で、恋愛もいくつか経験して、結局人間って欠点ない人はいないし、自分も欠点だらけだし、許し合う気持ちみたいなものが若い時より、年とってからのほうがあるんじゃないかなと思うんです。
生活がかかってる女性、たとえば家もなくて経済的にも男性に頼らざるを得ないような人は、やっぱり目をつぶることも多いですよね。逆に会社経営者など、60過ぎてもご自分でバリバリ仕事しているような女性は、正直一人でも生きていけるじゃないですか。ちょっと婚活中にうまくいかなかったりすると、気持ちが離れていきやすいんですよね。(私結婚なんていいかも)っていうふうに。
だから入会のとき、経営者や金銭的に余裕がある女性は婚活から気持ちが離れていきやすいから、「本当に結婚したいのか、いい人見つけたいという覚悟を持ってやらないと、途中でやめることになっちゃうケースが多いですよ」と言ってます。
なるほど。知れば知るほどシニア婚って面白いね。「人は何故結婚するのか」というテーマの根幹に辿り着く気がする。